豚肉の燻製リエット
今回は麦と葡萄の定番おつまみ
「豚肉の燻製リエット」の作り方を紹介します。
リエットといえばワインのお供ですが、少し燻製するだけでスコッチウイスキーとの相性がグッと良くなるのです。
「においが付くから家じゃできない!」そんな方もいると思います。
安心してください。しなくても良いです。燻製しなくても美味しいですから。
◆材料(ココット16~18分個位 ※店では1個60g)◆
※家庭で作るときは半分量くらいが良いかと思います。
豚モモ肉 1kg
豚背脂 1.2kg
玉ねぎ(大)1個
塩 肉の重量の1%~1.1%(鍋に入れる肉の重量の1~1.1%)
※燻製する場合は燻製した後に計量する。
白胡椒 適量
工程は大きく分けて以下の4つ。時間はかかりますが、いたってシンプルです。
①豚モモ肉の燻製
②背脂(固体)から脂(液体)を取る
③豚肉を柔らかくなるまで煮る
④柔らかくなった豚肉をほぐす
まずは「①豚モモ肉の燻製」
①-1. ブロック肉のスジや太い血管など(上写真の白い部分など)を取り除く。
(④の工程でも取り除くことができるのでここでは大まかで良いです)
①-2. 豚モモ肉のブロックを適度な大きさにカット。(下写真)
①-3. 10分間燻製する。
鍋底にスモークチップを敷き(手のひらで一掴み分)コンロに火を着けます。
火が強いと肉が焼けてしまうのでスモークチップから煙が出る程度の火力で。
(火を入れることではなく燻香を付けることが目的)
煙が上がってきたらフタをして10分間待つ。(下写真が10分後)
※店では一斗缶をつなげて使っていますが、中華鍋と金属のボール、網などで代用できます。(ボールはフタの役目)
その際、鍋とボールの内側をアルミホイルで覆わないと他の料理に使えなくなるので注意。
また、中華鍋だと炎と肉の距離が近いので肉に火が入り固くならないよう気を付ける。
(燻製時間を短くするなどの工夫が必要)
①-4. 肉の重さを量る。(肉の表面の水分をキッチンペーパーなどでしっかりふき取ってから)
続いて「➁背脂(固体)から脂(液体)を取る」
➁-1. 1cm角くらいにカットして弱火にかけフタをする。(下写真)
鍋底が焦げ付かないように最初は弱火で。最初のうちは時々フタを開け混ぜる。(均一に火が入るように)
➁-2. ある程度脂が出てきたら少しだけ火を強めて(少しだけです)しばらく放置。十分に脂を引き出す。(下写真)
➁-3. 十分脂が引き出せたら濾す。(下写真)
順番が前後しますが工程③で出て来る、玉ねぎをあめ色に炒めた鍋に直接濾し入れると洗い物が一つ減ります。
続いて「③豚肉を柔らかくなるまで煮る」
③-1. スライスした玉ねぎをあめ色になるまで炒める。(下写真)
③-2. 工程➁で取った脂を③-1.の鍋に入れる。(下写真)
①-4.で量った肉の重量の1~1.1%の塩を入れる。
③-3. 燻製した肉の表面の水分をキッチンペーパーなどで良く拭き取り鍋に入れる。(下写真)肉がヒタヒタに被るくらいの脂があればOK。
③-4. 落し蓋をして中火にかける。表面がプツプツしてきたら弱火にしてその状態をキープ。(分かりづらいですが下写真)
③-5. 1時間半から2時間後に肉を取り出す。(ヘラやトングで押してみて、「ホロッ」と崩れそうなくらい)(下写真)柔らかくなっていなければ更に煮込む。
続いて「④柔らかくなった豚肉をほぐす」
④-1. 肉を取り出した後の鍋を濾す。(下写真)
④-2. 玉ねぎなどの固形物を③-5.の肉に混ぜる。(下写真)
④-3. 濾した脂をしばらく放置し、上澄み部分(白っぽい部分)と底の部分(茶色っぽい部分)を分けておく。(下写真)
④-4. ④-2.の肉と玉ねぎを木べらである程度ほぐし、3.の茶色っぽい部分の脂をすべて入れる。(下写真)
④-5. 均一に混ぜたら味見をして塩が足りなければ足す。白胡椒もこの時点でいれる。
味が決まれば更にほぐしていく。(下写真)
慣れるまでは、ちょっと薄味かな?くらいで。薄い分には食べるときに塩を振れば良いのです。
④-6. 時々味見し食感を確かめ、④-3.で分けた脂の上澄み部分(白っぽい部分)を足しながら更にほぐしていく。
スジや硬い部分などが残っていれば取り除く。
ねっとりして少し白っぽくなってきたら肉と脂が上手につながった証拠です。(下写真)
実際食べるときのようにパンとともに味見(下写真)
肉の食感に玉ねぎの甘み、スモーキー&白胡椒の香り。「うまい!」
④-7. 容器に詰める。
なるべく空気が入らないようにしっかりと押し込みます。(下写真)
脂を流し入れるので表面は平らに。(下写真)
④-8. ④-3.で分けた脂の上澄み部分を流し入れ空気を遮断して完成!(下写真)
冷蔵で3週間は持つでしょう。(作り方や保存状態にもよるので絶対ではありません!ちょっとおかしいかなと思ったら食べちゃダメ。)
冷めると、このように白く固まります。それを冷蔵庫へ。長期保存する場合は冷凍庫へ。
解凍するときは食べる日の前日に冷蔵庫へ。翌朝にはそのまま食べられます。
以上、麦と葡萄流「豚肉の燻製リエット」でした。
イワシのマリネ
イワシのマリネ
「麦と葡萄」オープン当初からお出ししている定番メニューです。
南青山のワインバー「オヒョイズ」でソムリエをしていたときに夏目シェフに教えていただいた料理です。
当時、自分が働く店で出す料理がどのように作られているか知りたくてよく仕込みの手伝いをさせてもらっていました。
何度も何度も手伝ううちにイワシのマリネの仕込みを任せてもらえるようになりました。そうなるまでにはコテンパンにダメだしも食らいましたが・・・。
そんな思い出の料理です。
今回はオリジナルを少しアレンジしています。
冷蔵庫で1週間は保存できますので新鮮なイワシが手に入ったら是非チャレンジしてみてください。
◆材料◆
イワシ(刺身で食べられるもの)
玉ねぎ
ニンニク
鷹の爪
赤ワインビネガー
オリーブ油
サラダ油
塩
※酢も油も好みのものがあれば、それを使ってください。決まりはありません。
好きなハーブなどあれば一緒に漬けても良いでしょう。
注)オリーブ油だけだと冷蔵で固まり取り出しづらくなります。
ここで振る塩は思っている以上に多めだと思います。何度かチャレンジして感覚をつかんでください!
取り出すときは清潔な箸やスプーンなどを使ってください。手で取りだすと雑菌が入り日持ちしなくなります。
あとは好きな酒を用意してチビチビやるだけ。
赤ワインでもイケる守備範囲の広い名選手です。
以上「イワシのマリネ」でした。
スコットランド スカイ島
今日は銘酒「タリスカー」の故郷、スカイ島。
「舌の上で爆発するような」とか、「黒胡椒やスパイス」とか「力強く強烈な舌触り」とか飲んだことのない者にしたら「ホントにウイスキーなの?」と思うほどの表現が出てきます。
ウイスキー評論家の故マイケルジャクソンさんも自著のなかでタリスカーのハウススタイルを「火山のように激しい」などと言っています。
そんな酒の故郷とはどんなところなんでしょうか?
まずは場所から。(赤い印がスカイ島)
スコットランドの西岸にはヘブリディーズ諸島といわれる大小様々な島が存在します。
その島々は本土に近いインナーヘブリディーズ諸島と、さらにその西にあるアウターヘブリディーズ諸島とに分けられます。スカイ島はインナーヘブリディーズ諸島最大の島です。
いたるところで巨岩がむき出しになっていて「巨大な岩でできた島」という印象です。
断崖絶壁に荒波が打ち付け「落ちたら死ぬな」というところが沢山あります。もちろんガードレールなどありません。
また気象条件も厳しく天気の急変もしばしば。空が急に暗くなり、土砂降りの雨さらには雹まで降ったかと思うと数分後には太陽がキラキラと輝き、もう目が回りそうです。
「タリスカー」が前述のように形容されるのは単に香りや味わいだけでなく、このような厳しい自然環境、気象条件のなかで育まれたことも関係しているのではないでしょうか?
それではいよいよ蒸留所の写真をといいたいところですが、蒸留所内部は撮影禁止。
マニアックなことをいうと、特徴的なラインアーム(蒸留器と冷却装置をつなぐ部分)を写真に撮りたかったのですが…。残念!
ツアーに参加すると精麦→糖化→発酵→蒸留→熟成と順を追って見せてくれます。
仕込みの量は何トンで酵母はどこどこ社製のなになにで、発酵槽の材質は何々で大きさはどうのこうの…。などなど、どこの蒸留所もまずはスペック的なことを説明してくれます。興味がなければ聞き流しても良いでしょう。私もその辺はほとんどスルーです。そもそも英語が得意ではないので細かい数値など呪文のようにしか聞こえません。
蒸留所ツアーのハイライトは何といっても迫力あるポットスチルの姿でしょう。
スコッチウイスキーは蒸留所によってポットスチルの形が違います。これは出来上がるウイスキーの香り、味わいを決める重要な要素のうちの一つです。
本やネットで見てなんとなく知っているものの、目の前でみると「おぉーこれか!」となるわけです。(ブルゴーニュの有名な畑などを見た時と同じです。)また蒸留所によっては発酵途中のもろみを飲ませてくれたり、精麦作業を体験させてくれるところもあります。アイラ島のラフロイグ蒸留所などは麦芽を乾燥中の、煙がモクモク立ち込める部屋にまで入れてくれました。
写真では伝わらない匂いや温度、雰囲気などを感じることができるのが現地を訪れる醍醐味です。
今となっては行きたいところに自由に行けた日々が懐かしいです。
一日も早く事態が収束することを願うばかりです。
以下の写真はおまけ。
海に囲まれているだけあって魚介類は豊富でした。味は想像にお任せします。
自家製ベーグル
今日はベーグルの仕込みを。
多少の手間ではありますが難しくはないので自宅でもチャレンジしてみてください。
冷凍保存できるので時間のある時に作っておくと便利です。
◎材料 (ミニベーグル12個分)
強力粉 375g
グラニュー糖 18g
塩 7g
生イースト 17g
(ドライイーストでもOK。その場合の分量は箱に書いてある通りに)
ぬるま湯(40℃くらい)210ml(風呂の湯がちょうど良いくらい)
※粉も砂糖も塩もイーストもお湯も少しくらいズレても大丈夫です。
・強力粉を大きめのボールに入れておく
・その他の材料を別のボールに入れ、すべての材料が溶けるまでホイッ
パーなどで混ぜる。混ぜたら強力粉の入っているボールへ全て入れ
る。
・強力粉をボールの中でよくよくこねる。
よく言う耳たぶくらいの固さです。
(水分が足りなければぬるま湯を足してください。ざっくりでOKです。)
(逆に水分が多ければ強力粉を足してください。)
・よくこねたら、丸めてボールの中で一次発酵。(20~30分)
乾かないようにボールにラップを張っておきます。
一回りくらい大きく膨らみます。
・そうしたら、もう一度軽くこねて等分します。
今回は12等分。一つ50gです。(別に計らなくてもよいです。半分の
半分の…とやっていけばだいたい等分できます。6等分でも8等分でも)
・等分したら、きれいに丸めて休ませます。(15分)ラップを忘れずに。
・15分後には少し膨らんでくるのでそれをテーブルの上に置き、手でた
たいてつぶし、延ばします。
・それをクルクルと棒状にしてから成型します。
ベーグルっぽくするならドーナツ状に。
何かを挟んで食べるのであれば真ん中に穴がないほうが挟みやすいです。
・成型したら二次発酵(20分)。ここでもラップを忘れずに。
・グラニュー糖(上記の材料の分量外)を入れた湯で茹でていきます。砂糖の量は
パスタを茹でるときの塩くらいのイメージで。
フツフツと泡が立つくらいの湯加減で。
・完成後上になる面を先に茹でます。(1分間)
・その後ひっくり返して(1分間)。オーブンシートはしばらくするとスッと剥がせます。
・湯から取り出したらすぐに予熱しておいたオーブンへ(200℃で20分)
取り出すときは挟むと形が崩れるのでヘラか何かで下からすくって取り出します。
・こんがりと焼き色がついたら完成です。(焦げない様に時々様子を見ながら)
ちなみに茹でないで焼くとこんな感じです。(一番手前)
味は一緒です。表面の照りと食感が違ってきます。これはお好みで。
保存するときは半分に切って冷凍しましょう。
冷凍保存したものを食べるときは表面に霧吹きで水をかけトースターかオーブンで焼けば表面はザクっ、中はフワッと、いい感じで食べられます。
以上自家製ベーグルでした。
写真を撮り忘れて、分からずらい工程もあったかと思います。
それでもだいたいうまくいきますので是非チャレンジしてみてください。
「ベーグル焼けるよ」って言ったら結構自慢になると思います。実はそこそこ形になります。あるかもしれないホームパーティーのためにネタとしてストックしておいてはいかがでしょうか?
専門店のように作るには当然修業が必要ですが…。
加治
クーパレッジ
「クーパレッジ」
ウイスキーファンでもこの言葉を知っている方はかなりマニアックといえるでしょう。
熟成に樽が欠かせないウイスキーの世界には、樽の製造補修を専門に行う職人「クーパー」がいます。そして樽の製造補修工場のことを「クーパレッジ」というわけです。
きょうはスコットランドのクーパレッジの写真を少し紹介します。
ロンドンからスコットランドの首都エジンバラまでは北方へ約530km。
そのエジンバラから更に北へ170kmほど行くとスコッチウイスキーの聖地ともいうべきスペイサイドと呼ばれるエリアがあります。合計約700km。
日本でいうと東京から函館のさらに北へ数十kmくらいの距離です。
まずは、「アイラクーパレッジ」 こじんまりした工場です。数人の職人が黙々と樽の補修をしています。一人が一樽を最後まで仕上げていくようです。
工場内はハンマーで鉄のフープ(樽を保持するための鉄帯)を叩くガンガンという音と機械が動く音でかなりの騒々しさです。
次の写真はスペイサイドのダフタウンからクライゲラヒへ向かう途中にある「スペイサイドクーパレッジ」こちらは観光客にも開放されていて、見学コースもある大きな工場です。
傷ついた樽はこのようにクーパーが補修を施し70年くらいは大切に使われ続けます。
そもそも樽になる前から森で100年以上生きてきた樹が多いのです。
そんなことを考えながらバーのカウンターでウイスキーと向き合うと、自分よりも長い長い年月を生きてきた大先輩に思わず姿勢を正してしまいそうです。
ちょうど10年前の2010年、スコットランドの蒸留所やヨーロッパのワイン産地をめぐる旅をしていました。クーパレッジの写真もその時のものです。そんなわけで初ブログはウイスキーにもワインにも縁の深い樽工場を紹介しました。
今後も当時のことを思い出しながら少しずつ書いていきたいと思います。
加治